演奏 ヴァン・スヴィーテン・ソサイアティ 録音 2014年 

<CD 420>

 しばらく振りにBLOGを更新します。
オランダのピアノ五重奏による珍しい演奏です。
編曲はベートーヴェンの弟子のフェルディナンド・リースです。

指揮 なし
演奏 ヴァン・スヴィーテン・ソサイアティ
録音 2014年3月
編曲 フェルディナンド・リース
ヴァン・スヴィーテン・ソサイアティ
 オランダのピアノ五重奏団、古楽器を用いた演奏で、バロック、古典派からロマン派前期までをレパートリーとする。
メンバー5名のうち3名は女性である。
フォルテ・ピアノ Bart van Oort
ヴァイオリン   Helen Hulst
チェロ      Job ter Haar
フルート     Marion Moonen
ヴィオラ     Bernadette Verhagen

フェルディナンド・リース
 ベートーヴェンの弟子で、ベートーヴェンの伝記の作者として知られている。
波乱万丈の人生を送ったが、作曲家として多くの作品を残している。
その多くは世の中から忘れられていたが、1990年代になって、見直しが行われている。

第1楽章 14'12"
第2楽章 12'36"
第3楽章   6'16"
第4楽章 11'32"  
合計      44'36"

 第1楽章はおおらかに始まり、演奏形態からしてサロン風の演奏で、オーケストラによる演奏のような雄渾さはないが、ベートーヴェンの時代の演奏を彷彿とさせる演奏である。
まったく、心地よい演奏である。
 第2楽章は始めはピアノが主役であり、リストの編曲による独奏と同様、モノトーンの響きが心を揺さぶる。
他の楽器が追随し、美しく物悲しい演奏が連綿と続く。
後半の怒りの旋律はさすがに迫力がないが、ここでもサロン風の演奏を楽しむことができる。
 第3楽章は演奏形態が最もマッチした楽章である。
スケルツオのリズムをピアノが奏でて、途中から他の楽器とのコンビネーションが絶妙に展開される。
編曲と演奏の両方が優れている。
 第4楽章はこの演奏形態ではこの楽章のもつ特色をうまくカバーできていないように感じるが、これは致し方ないであろう。
原曲のもつ迫力が編曲と演奏の力の限界を超えているように感じた。

 このCDはベートーヴェンの時代のサロン風の演奏を楽しむためのものである。
その目的は十分に達成されている。
現代のフルオーケストラによる演奏と比較してはいけないのである。

CD420,van Swieten Society,2014 Recording

Vansa

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指揮 クリヴィヌ 録音 2009年

<CD 374>

指揮 エマニュエル・クリヴィヌ
演奏 ラ・シャンブレフィルハーモニック
録音 2009年12月 ライブ録音

エマニュエル・クリヴィヌ

1947年~ 
 グルノーブル生まれ、フランス人の指揮者。
パリ音楽院でヴァイオリンを学び、コンクールで優秀な成績を修めヴァイオリニストとしてスタートするが、カール・ベームと出会ったことがきっかけで指揮者に転向する。
1976年からフランス放送フィルハーモニーの主席客演指揮者、1987年からリヨン国立フィルハーモニーの音楽監督を務める。
2004年に室内オーケストラのラ・ションブレフィルハーモニーを立ち上げる。

ラ・ションブレフィルハーモニー

 2004年にクリヴィヌにより結成された室内楽団。
ベートーヴェンのほか、メンデルスゾーンやブラームスなどの録音がある。

第1楽章 15'20"
第2楽章 13'52"
第3楽章   5'37"
第4楽章 10'38"
 合計   45'27

 第1楽章は典型的なピリオド奏法である。
超高速のテンポで、勢いが良く、はつらつとして前へと突き進む。
音量の変化にメリハリがあるためヴァイタリティと色彩感のある演奏だ。
 第2楽章も速いテンポで、淡々とした演奏だ。
ビブラートを効かせていないため、一音一音がシンプルに聞こえ、かえってそれが胸に迫るものを感じさせられる。
中盤からはボルテージが上がりハイトーンとなり、ぐっと緊張感が増す。
 第3楽章は整然とした中にも軽快さと力強さがバランスしている。
 第4楽章は初めはさすがに音の重なりや厚みが室内楽的に聞こえてしまう。
しかし、その後の展開は鮮やかで、この指揮者の才能が認識される演奏だ。

 小編成のオーケストラながら、勢いがあって、ボルテージの高い鮮やかな演奏だ。
ピリオド奏法だが決して伝統的な演奏にとどまっていず、明るくはつらつとして、色彩感のある個性的な演奏だ。

CD 374 Emmanuel Krivine,La Chambre Philharmonique;2009/12 Live recording

Krivine2009_2 

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指揮 ダウスゴー 録音 2002

<CD 367>

指揮 トーマス・ダウスゴー
演奏 スウェーデン室内管弦楽団
録音 2002年10月

トーマス・ダウスゴー

1963年 コペンハーゲン生、デンマーク人の指揮者。
デンマークで学び、デンマーク、北欧、アメリカで研鑽を積む。
1993年に指揮者としてデビューする。
1997年にスウェーデン室内Oの音楽監督、2004年にデンマーク放送SOの首席指揮者となる。
バイエルン放送SO、ゲバントハウスOなどヨーロッパや北米の主要なオーケストラの客演指揮者としても活躍している。

スウェーデン室内管弦楽団

 1995年に設立され、オスロを本拠地とする総勢38人の楽団。
近年演奏や録音に積極的で、地元とツアーを合わせ年間90回のコンサートを行う。

第1楽章 15'39"
第2楽章 12'44"
第3楽章   5'21"
第4楽章 10'16"
 合計   44'00

 第1楽章はピリオド奏法による快速なテンポのダイナミックな演奏だ。
フルオーケストラも顔負けの生気あふれる演奏だ。
 第2楽章の序盤はビブラートを利かせていないことと速いテンポのため、ややあっさりとした印象だ。
ただし、リズムと音量、フレージングに抑揚を利かせ、単調さや情緒不足にならないように配慮している。
中盤以降は音量の切り替えに幅をもたせて、堂々たるダイナミックな表現の演奏を展開している。
 第3楽章は速いテンポとダイナミックで緊張感のある演奏が続く。
 第4楽章も速いテンポでダイナミックな演奏だ。
キレのあるリズムと音量の切り替えによって、音の厚みの不足をカバーし、聴き応えのある演奏に仕上げている。

 ダウスゴーは室内オーケストラでもフルオーケストラに負けないようなダイナミックな演奏を心がけているようだ。
この試みはかなり成功しているようだ。
ただし、室内オーケストラの特長をもっとアピールする演奏をしてもよかった気がする。

CD 367 Thomas Dausgaard Swedeish Chamber O ;2002/10

Dausgaard2002

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合奏 コレギウム・アウレウム 録音 1976年

<CD 236>

合奏 コレギウム・アウレウム 
録音 1976年 6月

第1楽章 18'44"
第2楽章 14'17"
第3楽章   5'59"
第4楽章 11'45"
 合計   50'45"

コレギウム・アウレウム合奏団は1962年にドイツで結成された。
名前はラテン語で「黄金の楽団」という意味である。
古楽器を用いた合奏団の草分けで、バロックからロマン派までの音楽を当時の音で再現しようとした。
ただし、奏法はビブラートを効かせないいわゆるピリオド奏法ではない。
総勢30人ほどの楽団である。

第1楽章は典雅で美しい面と、骨太で堂々とした響きの面の両側面を合わせもっている。
第2楽章は実直な演奏である。
意図的な音の強弱やテンポの変化もない。ストレートで堂々とした演奏だ。
この曲のもつ本来の味が伝わってくる。
第3楽章も気取りのない実直な演奏だ。
第4楽章は小編成ながら力強く、堂々たる演奏である。

ベートーヴェンの交響曲を当時の編成と当時の楽器で演奏しようとした最初の試みの録音である。
現代の100人を越える大編成のオーケストラと比べると、その1/3以下の人数である。
また指揮者を置かず、コンサートマスターが中心となってリードするスタイルだが、よくまとまった演奏だ。
楽譜もベートーヴェンのオリジナルに近いものを使用しており、金管の響きなどがこれまでの演奏と異なっている部分が随所にある。
80年代の半ばになって、ホグウッドやブリュッヘンなどによって同じスタイルの古楽器を用いた小編成の楽団による演奏が多く出現するようになった。
これらはピリオド奏法を採用していて、より徹底した方向を目指していると言える。
この演奏はその10年ほど前のもので、先駆的な演奏であって大変貴重な録音である。

CD 236 Collegium Aureum CO 1976/6

Collegium

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演奏 モーツァルトピアノ四重奏団 録音 06年

<CD 168>

編曲 フェルディナンド リエス
演奏 モーツァルト ピアノ四重奏団
録音 2006年10月

第1楽章 15'22"
第2楽章 13'43"
第3楽章   5'40"
第4楽章 10'41"
 合計   45'26"

モーツァルト ピアノ四重奏団 2000~

2000年に設立された四重奏団で、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで構成され、ヨーロッパを中心に活躍している。

フェルディナンド リエス 1784~1838

彼はベートーベン(1770~1827)の友人で、ベートーベンより14才年下である。
ベートーベンの初期の作品を多く編曲している。
ベートーベンが英雄を完成させたのは1804年であり、リエスがこれを編曲したのは1807年なので、ベートーベンもこの曲の存在を知っていたことであろう。
ただし、これが楽譜として出版されたのは1857年のことである。

第1楽章はテンポの速い演奏であるが、呼吸が合っていて緊密な演奏である。
もちろんオーケストラのような重厚さはないが、典雅な室内楽の響きがとても心地よい。
第2楽章はピアノが奏でる第一主題に胸がキュンとなってしまう。第二主題はヴァイオリンに交代し・・・と、まるでピアノソナタやヴァイオリンソナタが次々にリレーされて行く面白さがある。後半は合奏で締めくくる。
第3楽章はピアノが主役で、メロディ部でもリズム部でも軽快なタッチが響く。
第4楽章はピアノ、ヴァイオリンが主役、脇役を交代しつつ、その後全楽器の渾然一体となった緊密な合奏が続き、飽くことがない。

ピアノ四重奏の英雄はフレッシュである。
演奏の流れの中で編曲の妙が感じられる一方、ここは私ならこう編曲すると感じるシーンがいくつかあり、それも楽しみに加えながら聴くことができ、オーケストラ版では味わえない面白さがある。

CD 168 Mozart Pf SQ 2006/10

Mozartqualtet

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指揮 グロスマン 録音 03年

<CD 136>

指揮 ダニエル グロスマン
演奏 アンサンブル28
録音 2003年年10月

第1楽章 16'26"
第2楽章 11'11"
第3楽章   5'51"
第4楽章 10'48"
 合計   44'16"

ダニエル グロスマン 1978~
ミュンヘン生。

ニューヨークやブダペストで指揮を勉強。
2003年にアンサンブル28を設立し、その指揮者となる。
2004年からブダペストのコルビヌス管弦楽団の指揮者を務めている。

アンサンブル28はEUの6カ国出身の28人の演奏家から構成される古楽器による室内楽アンサンブル。
フルオーケストラで演奏される古典派やロマン派の曲をフルオーケストラに負けない演奏をすることを目標にしている。
奇しくも28人はベートーベンが自分の指揮でエロイカを演奏したときと同じ人数である。

この演奏は古楽器を用いていて小編成の楽団で演奏しているせいか、響きが素朴である。
ベートーベンの時代のオーケストラの響きもかくあったかと思われ、感慨深い演奏である。

第1楽章はテンポが速く、生気がみなぎっていて、闊達な演奏である。
第2楽章は速目のテンポで淡々と演奏していて、素朴な味わいがある。
第3楽章は自然で素朴な演奏である。
第4楽章は素朴な響きながら、堂々としていて、この楽章のもつ壮大な雰囲気を表現している。

この演奏は小編成ながら、大編成のオーケストラの響きに負けないという当初の目標を達成できていると思う。

CD 136 Grossmann Ensemble 28 2003/10

Grossman

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指揮 金聖響 録音 03年

<CD 135>

指揮 金 聖響
演奏 アンサンブル金沢
録音 2003年5月

第1楽章 16'52"
第2楽章 15'36"
第3楽章   5'59"
第4楽章 11'50"
 合計   50'17"

金 聖響 1970~
大阪生、在日韓国人の指揮者。
14才で渡米、アメリカとオーストリアのウィーンで勉強し、国際的な指揮者コンクールで優勝。
日本を中心に活躍、2003年から大阪センチュリー交響楽団の指揮者を務めている。

アンサンブル金沢は1988年に設立された日本初のプロの室内オーケストラ。
日本人作曲家の現代音楽を積極的に取り上げるとともに、モーツァルトやベートーヴェンの演奏にも定評がある。

 この演奏は力みがなく、テンポやリズムが安定していて、最初から最後まで安らかな気持ちで聴くことができた。
第1楽章は整然としていて、透明感があり、清潔な演奏。テンポがとても安定している。
第2楽章は力みがなく穏やかな演奏だが、とても情緒がある。悲壮感はなく、ほのぼのとした情感がある。それは清潔感のあるさわやかなものである。
第3楽章は整然とした心地よい演奏である。
第4楽章は力まず安定していて伸びやかな演奏である。スケール感もある。

CD 135 Kim Ensemble Kanazawa 2003/5

Kim

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弦楽五重奏 録音 99年

<CD 094>

演奏 エンシェント・コンソート・プラハ
録音 1999年8月

第1楽章 15'54"
第2楽章 13'33"
第3楽章   5'46"
第4楽章 10'51"
 合計   46'04"

エンシェント・コンソート・プラハ

ヴァツラフ・ナーヴラットをリーダーとするチェコ人による古楽器を使った室内アンサンブル。

この演奏で使用しているエロイカの弦楽五重奏版の楽譜はチェコの図書館で発見されたもので、ベートーベンと同時代のC.F.エバースによるものである。
ベートーベン自身もこの楽譜に目を通していたと思われ、いわばベートーベン公認の楽譜といえる。

これは室内楽としてのエロイカではあるが、違和感は感じない。
全体的にきびきびとした演奏で聴き心地が良い。
特にバイオリン、ビオラ、チェロの各パーツがそれぞれ分担する旋律とリズムを明瞭に聴き取ることができ、おもしろい。
これはオーケストラの演奏では味わえないものである。
ハイライトはやはり第2楽章で、とても美しい。
第1、第3楽章も力強い演奏であるし、第3楽章も軽妙である。
この演奏の良さは演奏技術の高さはもちろんであるが、何よりもエバートによる編曲の見事さに負うところが大きい。
ヨーロッパにはまだこのような宝物というべき貴重な楽譜が残っている可能性がある。
なお、この室内楽版の楽譜はベートーベンの交響曲の全曲分とピアノソナタのものもあるらしい。
「交響曲第7番」や「ピアノソナタ月光や悲愴」の室内楽版も是非聴いてみたいものである。

CD 94 Ancient CP 1999/8

Consortpr

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