指揮 山田 録音 1991年

<CD 418>

指揮 山田 一雄
演奏 大阪センチュリー交響楽団
録音 1991年3月 ザ・シンフォニーホールにおけるライブ録音

山田 一雄

 1912~1991

 東京生れ、始めはピアニストとしてスタートするが、1940年から指揮台に立つ。
日本交響楽団(NHK交響楽団の前身)、京都市交響楽団、新星日本交響楽団などの指揮者を勤める。
海外でも広く活動した。
しかし、この演奏会のわずか5カ月後にこの世を去った。
日本の指揮者の草分けの一人であり、本邦初演の曲も多い。

大阪センチュリー交響楽団

 大阪センチュリー交響楽団は1989年に大阪府により設立された。
2010年に当時の橋本知事は支援金を大幅に減額し、2011年には完全に支援を打ち切った。
これを機にオーケストラは日本センチュリー交響楽団へと名称を変更した。
現在は小泉和浩が音楽監督、沼尻竜典が首席客演指揮者を勤めている。
レパートリーは古典派から現代までと広く、海外でも活動する。

第1楽章 15'24"
第2楽章 17'24"
第3楽章   6'01"
第4楽章 12'20"
 合計   51'09"

 第1楽章はテンポはやや遅めであるが、リズムの歯切れがよく、オーソドックスで流れの良い演奏である。
力強さと緊張感も備わっており、精神性の高い演奏である。

 第2楽章はテンポは遅めながら、変動が少なく、やはりオーソドックスな演奏だ。
音に強弱を付け、陰影が濃く、深みを感じる演奏である。
音に広がりがあり、格調の高い演奏だ。

 第3楽章はリズムにメリハリがあり、音の強弱と合わせてリズミカルで牧歌的な味わいをもつ。
 第4楽章は小気味よいテンポにきめ細かいリズムが組み合って流れがよく、ダイナミックさあり、躍動感のある演奏だ。

 このオーケストラは48人とやや小編成であるが、音の厚みの不足は感じられず、充実しかつ精神性の高い演奏を展開している。
この演奏を聴くと、山田氏にはもっと長く活躍して欲しかったとつくづく感じるのである。

 6カ月間のブランクを経ての復帰第1段のCD鑑賞であるが、やはり耳鳴りがひどく、古いLPレコードを聴いているようなノイズをバックグランドに感じる。
本来澄んだ良い音なのであろうが、残念である。
これからはノイズに惑わされず、CDの音に集中できるよう気持ちを切り替えて行こう。

CD418,Kazuo Yamada,Century Orchestra Osaka,1991/3,Live Recording

Yamada_eroica

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指揮 堤 録音 1997年

<CD 416>

指揮 堤 俊作
演奏 ロイヤルチェンバーオーケストラ
録音 1997年11月 ライブ

堤 俊作 1946年~2013年
 大阪府出身の日本人指揮者。
1975年に東京シティフィルハーモニックを、1993年にロイヤルチェンバーオーケストラを、1997年にロイヤル・メトロポリタン管弦楽団を設立し育成した。
札幌交響楽団、大阪市音楽団の音楽監督も努め、ヨーロッパや中米など海外でも指揮活動を展開した。
管弦楽、吹奏楽の指揮のほか特にバレエの公演では第一人者として活躍した。

ロイヤルチェンバーオーケストラ
 ロイヤルチェンバーオーケストラは、東京都を本拠地とする室内オーケストラである。
1993年に堤俊作により設立された。
サイトウキネンオーケストラなど内外で活躍したメンバーで構成される。
大編成の曲はロイヤル・メトロポリタン管弦楽団として団員を増やして演奏している。
このエロイカは通常のフルオーケストラの約半数の37名で演奏している。
 
第1楽章 17'04"
第2楽章 14'54"
第3楽章   5'48"
第4楽章 11'52"
 合計   49'38"

 第1楽章は堂々とした出だしで始まり、中庸のテンポ、歯切れのよいリズムで、簡潔で明快な演奏だ。
テンポやリズムの揺れがなく、誇張や過度の表現もなく、耳障りの良い落ち着いた演奏である。
 第2楽章も虚飾のない簡潔で清清しい演奏である。
この楽章もテンポ、リズムが安定している。
 第3楽章も一貫して安定したきもちよい演奏である。
 第4楽章も終始安定したよい流れの演奏である。

 やや小編成の構成であり、室内楽の雰囲気とオーケストラの雰囲気の両方が味わえる。
特筆すべきは、メンバー個々の技術が高いことである。
小編成の場合、合奏技術もさることながら、メンバー個々の技術が問われるが、技術が高く音色も美しい。
録音も優秀である。
決して重厚壮大な演奏ではないが、落ち着いた飽きない演奏である。

CD416,Syunsaku Tsutsumi,Royal Chamber Orchestra,1997/11,Live Recording

Tsutstmi1997

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指揮 江原 録音1999年

<CD 413>

指揮 江原 功
演奏 名古屋シンフォニア管弦楽団
録音 1999年2月 ライブ

江原 功 196?年~
 桐朋学園で学び、1989年から指揮活動を行う。
1990年にニューヨークシティバレエ団日本公演での指揮を勤める。
その後バレエの指揮活動の他、オーケストラや室内楽団の指揮、教育の分野で活躍している。

名古屋シンフォニア管弦楽団
 1982年4月に名古屋周辺のアマチュア音楽家を中心に設立された。
現在84名が在籍している。
1年に2回、愛知県立芸術劇場で定期演奏会を行っている。
定期演奏会もまもなく65回目を迎える。

 
第1楽章 19'31"
第2楽章 15'53"
第3楽章   6'19"
第4楽章 12'10"
 合計   53'53"

 第1楽章はゆったりとしたテンポ、安定したリズムで、どっしりとした堂々たる演奏が展開される。
力強さ、大きさ、重量感が十分な演奏だ。
 第2楽章もゆったりしたテンポで、奇をてらわないオーソドックスな演奏だ。
テンポや音量の変化は抑制されていて、風格のある堂々とした演奏だ。
 第3楽章はバレエを得意としている指揮者らしくリズムが軽快でメリハリのある演奏だ。
管楽器群も伸びやかな演奏を展開している。
 第4楽章も落ち着いていて堂々たる演奏がベースにあり、その中にはつらつさや変幻さが散りばめられている。
良質な演奏だ。

 この指揮者はバレエの演奏を得意としているので、特徴あるリズムや劇的な表現を期待していたが、そうではなく、カール・ベームを思わせる巨匠風の堂々たる演奏だ。
オーケストラもアマチュアにありがちな力みや気負いはなく、西欧の名門オーケストラのような安定したまとまりのある演奏だ。
会場の音響効果が良いのか録音も優れている。

CD413,Isao Ehara,Nagoya Symphonia Orchestra,1998/02,Live Recording

Ehara1999

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指揮 山田 録音 1988年

<CD 411>

指揮 山田 一雄
演奏 日本フィルハーモニー交響楽団
録音 1988年2月 ライブ

山田 一雄 1912~1991

 東京生れ、始めはピアニストとしてスタートするが、1940年から指揮台に立つ。
日本交響楽団(NHK交響楽団の前身)、京都市交響楽団、新星日本交響楽団などの指揮者を勤める。
海外でも広く活動する。
日本の指揮者の草分けの一人であり、本邦初演の曲も多い。

日本フィルハーモニー交響楽団

 1956年に創立した楽団で、初代指揮者は渡辺暁雄。
その後、ラザレフ、小林研一郎、山田和樹、広上淳一、沼尻竜典などが指揮者となる。
設立当初から現在まで幅広いレパートリーを誇っている。

 
第1楽章 15'26"
第2楽章 17'29"
第3楽章   5'49"
第4楽章 12'10"
 合計   50'54"

 第1楽章は、安定した中庸なテンポで、陰影の濃いくっきりとした造形の演奏が展開される。
しかもとても熱い演奏である。
 第2楽章は一音一音に魂がこもっていて、とても厳かな演奏である。
中盤から後半にかけては深くかつ情熱的な演奏で、楽章を通して高い精神性をもつ演奏である。
 第3楽章は軽妙さと情熱の交錯した演奏である。
 第4楽章は強音と弱音の切り替えが見事で、この楽章も情熱的である。

 曲全体が高い精神性と情熱を備えた演奏で、指揮者の意図が出尽くした演奏である。
オーケストラも充実した演奏で指揮者の要求に応えている。
80年代の録音であるが、当時から高い能力をもつ指揮者と楽団であることがわかる。

CD411 Kazuo Yamada ,Japan Philharmonic Symphony Orchestra;Feb 1988; Live

Yamada1988

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指揮 シュタイン 録音 1985年

<CD 407>

指揮 ホルスト・シュタイン
演奏 NHK交響楽団
録音 1985年11月

ホルスト シュタイン 1928~2008年
ドイツ ヴァッパタール生

 フランクフルト、ケルンで音楽を学び、50年代半ばからドイツ、オーストリアで指揮活動を行う。
ハンブルグ国立歌劇場管弦楽団、ウイーン国立歌劇場管弦楽団、スイスロマンド管弦楽団の指揮者や音楽監督を勤める。
日本でもおなじみで、NHK交響楽団の名誉指揮者の地位にあった。
N響とは1973年から1998年まで25年間の長きにわたり共演した。
ドイツ音楽を得意とし、特にベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナーの指揮には定評がある。

NHK交響楽団

 NHK交響楽団は1926年に設立された日本初のプロの楽団、新日本交響楽団がルーツである。
51年にNHK交響楽団の名称となった。
国内はもちろん、海外での演奏活動も盛んで、世界の一流指揮者との競演も多く、名実共に世界の一流楽団の仲間入りを果たしている。

第1楽章 18'45"
第2楽章 18'11"
第3楽章   6'08"
第4楽章 12'16"
 合計   55'20"

 第1楽章はゆったりとしたペースで、力みがなく、おっとりとした感じだが、伸び伸びとした演奏だ。
澄み切ったさわやかな印象である。
中盤以降は重厚さが加わり、緊張感が増してくる。
テンポはゆっくり目だが、テンポや音量の変化に自然なアクセントがあり、曲の流れが良く、緩慢な印象は全くない。
 第2楽章もゆったりとしたペースだが、大変まろやかな印象だ。
あまりの美しさにうっとりさせられ、ロマンチックな沼に引き込まれてしまう。
強音と弱音のメリハリが自然で、どちらも音が美しい。
音の拡がりも大きく、ゆったりとしたペースと相俟って、壮大なスケールに酔わされてしまう。
 第3楽章は強音弱音のメリハリがあって、勢いもある演奏だ。
ゆったりとしたペースで、しかも堂々としていて味わいのある演奏だ。
 第4楽章もゆるやかなペースだが、テンポや音の強弱に自然な変化をつけ、勢いと華々しさと静寂がめくるめく交錯する見事な演奏だ。

 シュタインはドイツ音楽を得意とするだけあって、重厚かつスケールの大きな演奏だが、細やかさもあり素晴らしい演奏だ。
N響は力みがなく、見事なアンサンブルで、シュタインの要求に柔軟かつ的確に対応している。
シュタインとの共演はこの時点で12年間であり、それも当然の結果だろう。
この演奏を聴くと、80年代にしてN響が一流の技術と感性を手中に入れていることがわかる。

CD407 Horst Stein,NHK Symphony Orchestra,Tokyo;1985

Stein85

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指揮 稲垣 録音 2012年

<CD 401>

指揮 稲垣征夫
演奏 東京クラリネット・クワイアー
録音 2012年4月

稲垣征夫

 東京生まれ、日本人の指揮者、クラリネット奏者。
1960年代からクラリネットの演奏、および指揮活動を行う。
自らもクラリネットの独奏やアンサンブル活動を行うが、オーケストラや吹奏楽団の指揮も多く行い海外でも好評を得ている。
東京クラリネットクワイアーを主宰している。

東京クラリネット・クワイアー

 1986年に稲垣征夫が中心となって設立されたアマチュアのクラリネット・オーケストラ。
総勢85人で、アンサンブルの域を超え、オーケストラとなっている。
6種類のクラリネット群のみで構成され、打楽器や弦楽器はもちろんクラリネット以外の管楽器はない。

第1楽章 15'06
第2楽章 14'06"
第3楽章   6'21"
第4楽章 12'07"
 合計   47'40

 第1楽章の冒頭の和音はやや迫力を欠くが、すぐに呼吸が整い威勢が良くなってくる。
総勢85名が奏でるクラリネットの音量は十分で、迫力がある。
バスクラリネットの低音も見事である。
はつらつとしていて、伸びやかで、音色も多彩、飽きることのない演奏である。
 第2楽章の冒頭はまさにクラリネットの地味で繊細な音が十二分に活かされる。
もの悲しいメロディが切々と美しく奏される。
中盤から終盤にかけての合奏は壮大で迫力満点である。
 第3楽章は軽妙でキレのある演奏だ。
本来ホルンが奏でる牧歌的な音はクラリネットがうまくカバーしている。
ややくぐもった音色が心地よい。
 第4楽章はテンポに変化をつけ、きらびやかで華やかな演奏だ。
絢爛豪華で、とても楽しめる。

 管楽器な中ではトランペット、フルート、オーボエに比べてクラリネットは地味な楽器と思っていたし、6種類もあることも知らなかった。
最も感心したのは編曲の妙技である。
クラリネットのみの演奏と聞き、地味で単調な演奏を予想していたが、それは全く杞憂であった。
華やかで迫力がある演奏だったが、それは演奏技術もさることながら、編曲と指揮に負うところが大きいのではないだろうか。
各楽器の特長を十分に生かしている。
この仕事はクラリネットの可能性を大きく広げたと言えるだろう。
この演奏を最も聴いて欲しい人は他ならぬベートーヴェンではないだろうか。
彼がこの演奏を聴いたならば、きっと「ブラボー」と叫んだに違いない。

CD 401 Ikuo Inagaki,Tokyo Clarinet Choir;2012/4

Clarinet

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指揮 鈴木 録音 2011年

<CD 398>

指揮 鈴木秀美
演奏 オーケストラ・リベラ・クラシカ
録音 2011年 10月 ライブ録音

鈴木秀美 1957年~

神戸市生、日本人のチェリスト、指揮者。
アマチュア音楽家の家庭に生まれ、チェロの勉強をする。
バロックチェロの第一人者として、かつ指揮者として国内外で活躍する。
2001年にオーケストラ・リベラ・クラシカを設立し、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを中心に古典派音楽の演奏の指揮を行っている。
海外や国内での大学で教鞭もとっている。

オーケストラ・リベラ・クラシカ

 2001年に鈴木秀美によって設立された総勢30名の楽団。
海外の演奏家も参加し、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを中心に古典派音楽の演奏を行っている。

第1楽章 17'24"
第2楽章 13'09"
第3楽章   5'53"
第4楽章 11'39"
 合計   48'05

 第1楽章は心地よい和音で始まり、きびきびとした歯切れの良いテンポとリズムがさわやかに響く。
オリジナル楽器を用いているそうで、弦楽器はまろやかな音色だが、管楽器は明るく響く。
小編成のオーケストラらしくはつらつとして活きのよい演奏が展開される。
 第2楽章はあっさりとした演奏だ。
小編成のため音に厚みがない分素朴な美しさがある。
過剰な飾りを排した演奏のため自然でモノトーンな響きが感動を誘う。
この楽章でもオリジナル楽器の素朴で新鮮な響きが耳に心地よく聞こえる。
中盤以降も素朴な演奏が続き好印象を与える。
 第3楽章はこの楽団の演奏スタイルが特にマッチしているように感じる。
軽妙で活き活きとした演奏だ。
とりわけホルンのくすんだ響きが印象的である。
 第4楽章も壮大さはないが、小回りを利かせて快活な演奏が続く。

 この演奏は車で言えば、中型車の豪壮な走りではなく、小型車の小回りを利かせた軽快な走りのようだ。
音色はオリジナル楽器を用いたまろやかなものだが、演奏スタイルは決して古風ではなく近代的といえるものだ。
古い物と新しい物が融合した素敵な演奏だ。

CD 398 Hidemi Suzuki,Orchestra Libera Classica;2011/10

Suzuki2011

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指揮 尾高 録音 2011年

<CD 395>

指揮 尾高 忠明
演奏 札幌交響楽団
録音 2011年 9-12月

尾高 忠明 1947~

神奈川県生
71年にN響を指揮してデビュー、72年にウィーンに留学、帰国後、東京フィル、札幌響、読売日響の指揮者となる。
87年からBBCウェールズ交響楽団の指揮者を務め高い評価を得た。。
95年から紀尾井シンフォニエッタ東京を指揮しつつ、国内外で指揮者として活躍、2010年1月にN響の正指揮者に就任した。

札幌交響楽団

札幌交響楽団は1961年に発足。
69年から全国で演奏会を行う。また、75年から海外演奏も行う。
岩城宏之、尾高忠明、秋山和慶などが指揮者を務めた。

第1楽章 16'59"
第2楽章 14'43"
第3楽章   5'48"
第4楽章 11'30"
 合計   49'10"

 第1楽章は標準的なテンポで、はつらつとしていて中身の濃い演奏だ。
よくまとまっていて、隙のない見事な演奏だが、目一杯ではなく余裕も感じられる。
 第2楽章はやや速めのテンポで、虚飾のない自然な表現で好感がもてる。
テンポとリズムが実に安定している。
 中盤以降も安定していて、自然な盛り上がりを見せる。
スケールの大きさも十二分に表現されている。
細部にも注意が払われていて充実した演奏だ。 
 第3楽章もまとまりがあり、充実した演奏だ。
 第4楽章は丁寧な演奏だ。
この楽章のもつ変幻さや躍動感をやや抑制しながらもバランスよくまとめている。

 このCDは札幌交響楽団の創立50周年を記念して企画されたベートーヴェンチクルスの1枚である。
演奏はバランスよくまとめられており、丁寧な楷書で書かれた手紙のようだ。
ブレや遊びがなく、中身が濃密である。
オーケストラの力量も遺憾なく発揮されている。
 地方の楽団がこのような立派な仕事をし、それを記録に残すのは見習うべき快挙である。
願わくばわが九州交響楽団もベートーヴェンの交響曲全集を出して欲しく思う。

CD 395 Tadaaki Otaka,Sapporo Symphony Orchestra;2011/9-12

Otaka2011

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指揮 朝比奈 録音 1975年

<CD 384>

指揮 朝比奈 隆
演奏 大阪フィルハーモニーオーケストラ
録音 1975年10月 ドイツでのライブ録音

朝比奈 隆 1908~2001年
東京生

 大学の法学部を卒業後、文学部へ入り直す。
その後音楽学校に入る。
1940年、新交響楽団を指揮しデビュー。
その後関西を中心に活躍、さらに満州に渡り指揮活動を行う。
戦後引き上げ、大阪で活躍。
1960年に大阪フィルハーモニー交響楽団の指揮者になり、93才で亡くなる直前まで指揮活動を行った。
ベートーベン、ブラームス、ブルックナー、チャイコフスキーを得意とし、特にブルックナーは日本はもちろん、国際的にも評価が高かった。

大阪フィルハーモニー管弦楽団

 1947年に朝比奈が中心となって関西交響楽団として設立された。以後2001年まで朝比奈が指揮者を務め、日本国内のみならず海外公演も積極的に行い、その実力は世界中で認められている。
現在は大植英治が指揮者を務め、国内のオーケストラとしてはトップクラスの幅広い活動を行っている。

 この演奏は大阪フィルの初のヨーロッパ公演のドイツにおけるライブ録音である。
 
第1楽章 16'58"
第2楽章 15'39"
第3楽章   6'09"
第4楽章 12'51"
 合計   51'37"

 第1楽章はゆったりと、しかもどっしりとしていて、堂々たる演奏だ。
朝比奈は自分のペースを崩さず、オーケストラも伸び伸びと演奏している。
ただし、時折テンポに揺れを感じる。
朝比奈はまだ60歳前半のせいか、この演奏には生気とみずみずしさを感じる。
 第2楽章も力みも小細工もない正攻法の堂々たる演奏である。
曲の流れもよどみがない。
ただ一本調子に感じなくもない。
 第3楽章も力が入り過ぎず、むしろリラックスして演奏しているようだ。
伸びやかな演奏で、軽快で牧歌的な雰囲気がよく表現されている。
 第4楽章も足がしっかり地に着いた演奏だ。
曲想の変化が多い楽章だが、きちんと対応できている。
特に後半は勢いが衰えず、好印象を受ける。

 1975年は約40年も昔である。
私が社会人になって3年目なので、当時の社会情勢ははっきり記憶している。
日本は高度成長のさなかにあったが、73年のオイルショックの影響が残っており、組み立て型の産業は好調だったが、素材産業は不況に見舞われていた。
日本列島改造論に起因するインフレーションが起きていて、毎年給料は上がったが、物価の上昇は激しかった。
大気汚染などの公害問題も深刻であった。
パソコンやワープロは普及しておらず、書類はすべて手書きであった。
国内の出張は航空機の使用が認められず、寝台列車や新幹線を利用していた。
円はドルに対しとても安かった。
国内でさえ航空機の利用は多くなかったので、当然海外旅行もまだポピュラーではなかった。
 そんな時期に海外公演、しかも本場のドイツで公演を行ったのはさぞご苦労だったことだろう。
しかし、このCDを聴いて安心した。
緊張もなく日頃のペースで良い演奏を行った。
日本のオーケストラの海外公演の先駆的役割を立派に果たした功績は大なるものがある。
これは日本人として誇れることだ。
ドイツでの評判も好評だったのは納得できる。
CDの第4楽章が終わったとき、思わず拍手をおくっていた。

CD384 Takashi Asahina,Osaka Philharmonic orchestra;1975/10

Asahina75

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指揮 中西 録音 2012年

<CD 380>

指揮 中西 哲郎
演奏 北九州伯林的管弦楽団
録音 2012年1月8日 北九州市戸畑市民会館におけるライブ録音

中西 哲郎 1960~

 北九州市生、アマチュアの指揮者。
本業は北九州市の職員である。
学生時代より所属する大学のオーケストラで演奏や指揮活動を行い、現在は北九州市を中心にアマチュアの管弦楽団や吹奏楽団の指揮者として活躍している。
指揮法については読売日本交響楽団の下野竜也氏に指導を受けている。

北九州伯林的管弦楽団

 1998年にベルリンフィルハーモニー管弦楽団に憧れる北九州市在住のアマチュアの音楽家達を中心に設立された楽団であるが、メンバーには福岡市や宮崎県、鹿児島県に在住する人もいる。
1年に1度定期演奏会が行われる。

第1楽章 18'27"
第2楽章 15'19"
第3楽章   6'20"
第4楽章 12'41"
 合計   52'47"

 第1楽章は奇をてらわないオーソドックスな演奏である。
音の切れがよく、リズムもしっかりしていて、強音も弱音もきれいである。
合奏は乱れがなく見事で、きもちよい。
オケは緊張した感じはなく、団員一人一人が平常心で落ち着いて演奏している。
 第2楽章もオーソドックスな演奏で、弦も管も充実した音を出していて、整っていて美しく流麗な演奏だ。
この楽章も団員全員が自信をもって演奏している。
 第3楽章はリズムがしっかりしていて、メリハリのある演奏演奏だ。
中盤のホルンが奏でる音もしっかりしていて、良い雰囲気を出している。
 第4楽章も各パートが自分の音をしっかり出し切っている。
それが前向きの演奏となって、この楽章のもつ活力と変幻さ、ダイナミックさをうまく表現している。

 各楽章ともアマチュアらしいオーソドックスな演奏で好感がもてた。
アマチュアの演奏では、一部のパートがとかく自信なさげな音を出して、それが全体の足を引っ張る傾向があるが、この演奏では皆が自信をもってしっかり音を出している。
それは豊富な練習と指揮者の的確な指導によるものだろう。
北九州市は人口が百万人の都市なので、クラシック音楽に熱心な演奏家が多くいて、充実した演奏ができるのだろう。
このように充実した演奏会であるのに入場料が無料であるのもありがたい。
第4楽章が終わった後の拍手には自分のものも含まれていると思うと楽しくなる。

 余談ではあるが、実演を聞いた演奏会のライブ録音を聴くのは2度目である。
1度目はもう40年以上も前だが、やはりベートーヴェンの第九交響曲であった。
当時在学中の大学のフィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会であった。
指揮は石丸寛氏、ソプラノは伊藤京子さんなどであった。
演奏会の後でこの演奏をライブ録音したLPレコードを聴いたが、演奏会での大きな感動が再びよみがえった。
 今回も実演はもちろん大いに感動したが、改めてCDを聴き直すと、指揮の安定感と演奏技術の高さが再認識された。
弦も管も打楽器もうまかった。
特に、フルート、オーボエ、ティンパニーが印象的であった。
ティンパニーは一瞬ハッとするハプニングがあったが、うまくクリアし演奏に影響はなかった。

 この演奏会に出席するために、往復8時間の日帰りドライブとなったが、とても充実した演奏会であったので疲れは全く感じなかった。
また機会があれば聴きに行きたいものである。
なお、このCDは団員の方のご好意によりいただいたものである。

CD380 Tetsuro Nakanishi,Das Orchestre in Kitakyusyu wie Berliner Philharmoniker;2012/01/08 Live Recording

Kitakyusyubo

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