指揮 マゼール 録音 2006年

<CD 415>

指揮 ローリン・マゼール
演奏 ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団
録音 2006年9月 ライブ

ローリン・マゼール 1930年~2014年
 フランス、パリ近郊生まれのアメリカ人指揮者。
生まれて間もなく、アメリカへ移住。
早くからヴァイオリンと指揮を勉強。
10代で指揮者としてデビュー。その後ヨーロッパで活躍。
ベルリン放送交響楽団、クリーブランド管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団などの指揮者を務める。
数年前にニューヨークフィルを率いて北朝鮮で演奏会をしたことが話題になった。

ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団
 ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団は1842年に設立された楽団で、アメリカの5大オーケストラの1つである。
創世記にはマーラーも指揮台に立ち、23年からメンゲルベルグ、27年からはトスカニーニが指揮をした。
フルトヴェングラーも客演し、ストコフスキーも指揮をした。
さらにミトロプーロスの後、58年から69年までバーンスタインが音楽監督を長く務めた。
その後、ブーレーズ、メータ、マズア、マゼールが音楽監督となった。
この楽団はレパートリーが広く、柔軟性があってどの指揮者にも対応できること、また管楽器奏者に名手が多いことが特長である。

 
第1楽章 14'18"
第2楽章 17'28"
第3楽章   6'02"
第4楽章 13'55"
 合計   51'43"

 第1楽章は快適なテンポと歯切れの良いリズムで進むが、ややせっかちな印象もあり少々残念である。
中盤からは熱気が加わり、闊達な演奏となる。
テンポも通常に戻り、テンポと音量に細かく変化を付け、引き込まれる演奏となる。
 第2楽章は、ゆったりとしたテンポで、美しさと情感を保ちながらも格調の高いゆるぎない演奏である。
特に金管楽器の音色は勢いもあり、素晴らしい。
 第3楽章は地にしっかりと足が着いた演奏で、この楽章も金管楽器が絶妙の演奏をする。
第4楽章はテンポ、リズム、音量が最適にチューニングされていて、聴き手の心を引きつけて離さない。
とりわけ金管楽器の活躍が目立つ。

 この演奏は指揮者が知り尽くした曲を、決しておざなりではなく熱気をもって演奏しており、マゼールの経験、才能、技術が遺憾なく発揮されている。
第1楽章の始まりがややせっかちな印象を受けるのが残念であるが、それを除くと素晴らし出来であり、巨匠と言われるにふさわしい演奏だ。
ニューヨークフィルの演奏もさすがで、金管楽器の充実さは評判通りである。
 私はこの録音とほぼ同じ時期に、マゼールとニューヨークフィルの日本公演を聴いた。
曲はベルリオーズの幻想交響曲であったが、金管楽器のすごさに仰天させられた。
マゼールは惜しくも今年亡くなられたが、素晴らしい録音を数多く残されたことに感謝するとともに、ご冥福をお祈りしたい。

CD415,Lorin Maazel,Newyork Philharmonic Orchestra,2006/09,Live Recording

Mazzel2006

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指揮 ドラティ 録音 1957年

<CD 414>

指揮 アンタル・ドラティ
演奏 ミネアポリス交響楽団
録音 1957年3月

アンタル・ドラティ
 1906~1988年
ブダペスト生まれ、ハンガリー人の指揮者。
ブダペスト音楽院を卒業後、ヨーロッパで指揮活動を展開する。
1945年からアメリカで指揮者として活動、ダラス交響楽団、ミネアポリス交響楽団の指揮者となる。
1963年からヨーロッパに戻り、BBC交響楽団、ストックホルムフィルハーモニー管弦楽団、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団の指揮者となる。
途中、再びアメリカのワシントンナショナル交響楽団、デトロイト交響楽団の指揮者も兼ねた。
ドラティはこのように多くの楽団に指揮者として迎えられたのには理由があるのである。
苦境にある楽団を立て直した実績を買われ、多くの楽団に乞われそれを復活させ、レベルを引き上げたのである。
その功績は大きい。

ミネアポリス交響楽団
 1903年に設立され、ミネアポリスに拠点を置くアメリカの楽団である。
設立当初はミネアポリス交響楽団という名称であったが、1968年からミネソタ交響楽団の名称になった。
ドラティは1949年から1960年までこの楽団の常任指揮者を勤め、この楽団のレベルアップに大いに貢献した。
ドラテイの他オーマンディ、ミトロプーロス、スクロヴァチェフスキー、マリナー、ワールト、大植英次、ヴァンスカがこの楽団の指揮者を勤めた。

第1楽章 14'01"
第2楽章 15'36"
第3楽章   5'20"
第4楽章 10'36"
 合計   45'36"

 第1楽章は早めのテンポで、気負いがなく、整然とした演奏で、素朴な響きの演奏である。
テンポや音量の変化も少なく、ベートーヴェン時代の演奏スタイルを再現しているかのようである。
 第2楽章もテンポが速く、細工のない自然で素朴な響きの演奏だ。
この楽章もテンポや音量の変化は少ないが、さすがに終盤は盛り上がりを見せる。
 第3楽章もテンポが速く、勢いのある演奏だ。
第4楽章は早いテンポで、音量やテンポの変化は自然な範囲で行われている。

 この演奏はフルオーケストラによる重厚で壮大な演奏スタイルとは違っている。
オーケストラの響きから推察すると小編成と思われる。
ベートーヴェンの時代の演奏スタイルを目指しているようだ。
80年代にホグウッド等が古楽器を用いたピリオド奏法の演奏を展開し注目を浴びたが、この演奏はピリオド奏法ではないものの、そのさきがけと言えるのではないだろうか。
なお、ドラティのエロイカは76年に録音したロイヤルフィルハーモニーとの演奏をすでに紹介しているが、その演奏とはスタイルが異なっている。
このCDは世界で初めてCD化されたものだそうである。

CD414,Antal Drati,Minneapolis Symphony Orchestra,1957/03

Drati57

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指揮 ワールト 録音 2013年

 10日間の入院生活を終え、退院しましたので、このブログの更新ができるようになりました。
(I get well and left hospital.So,I 'll renew this BLOG.)

<CD 409>

指揮 エド・デ・ワールト
演奏 シカゴ交響楽団
録音 2013年1月 ライブ

エド・デ・ワールト  1941-
 オランダ人の指揮者
オーボエ奏者として活躍するが、その後指揮者に転向する。
バーンスタイン、ハイティンクに教えを受け頭角を表し、ベルリンフィル、コンセルトヘボウなど世界の一流楽団を指揮する。
また、二流とされた楽団の多くを一流に格上げしたことでも知られる。
管弦楽とオペラの両方に手腕を発揮し、特にワーグナーを得意とする。

シカゴ交響楽団
 1891年に設立されたアメリカの5大オーケストラの一つ。
歴代の指揮者は長続きしなかったが、フリツ・ライナーの就任後、オーケストラは立ち直り、多くの録音を残した。
その後、ゲオルグ・ショルティの時代に第2期黄金期を迎えた。
現在はリッカルド・ムーティが主席指揮者を務める。

第1楽章 17'41"
第2楽章 1'45"
第3楽章   5'52"
第4楽章 11'11"
 合計   49'29"

 第1楽章は、テンポもリズムも軽快で、小気味よい演奏だ。
音色はとても澄んでいて、気持ちよい。
テンポや音量の変化は少なく、安定していて自然な演奏だ。
中盤以降はそれに溌剌さが加わる。
 第2楽章は地に足がしっかりと着いた演奏で、情緒も十分で、大きさもある。
音の流れが自然ながらも有機的に組み合わされ、とても充実した形でまとめられている。
 第3楽章も安定していて高いレベルを維持した演奏だ。
 第4楽章は始めから溌剌としていて、しかも芯のある演奏で、さらに流動的でもある。
リズムもシャープなため、緊張感あふれる見事な演奏である。

 ワールトはこの名オーケストラを見事にまとめ、よく歌わせ、よく鳴らしている。
ハイレベルな演奏に到達していて、実力のある指揮者とオーケストラの組み合わせによる成果が出ている。

CD409 Edo De Waart,Chicago Symphony Orchestra;2013 Live

Waart2013

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指揮 セル 録音 1963年

<CD 404>

指揮 ジョージ・セル
演奏 ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団
録音 1963年7月 ライブ

ジョージ・セル 1897~1970年

 ハンガリー ブダペスト生
ヨーロッパ各地で活躍後、渡米中に第二次大戦が勃発したため、アメリカに留まる。
1946年にクリーブランド管弦楽団の指揮者となり、1970年まで指揮者を勤め、同楽団をアメリカの五大楽団に押し上げた。

ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団

 ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団は1842年に設立された楽団で、アメリカの5大オーケストラの1つである。
創世記にはマーラーも指揮台に立ち、23年からメンゲルベルグ、27年からはトスカニーニが指揮をした。
フルトヴェングラーも客演し、ストコフスキーも指揮をした。
さらにミトロプーロスの後、58年から69年までバーンスタインが音楽監督を長く務めた。
その後、ブーレーズ、メータ、マズア、マゼールが音楽監督となった。
この楽団はレパートリーが広く、柔軟性があってどの指揮者にも対応できること、また管楽器奏者に名手が多いことが特長である。

第1楽章 15'34
第2楽章 16'33"
第3楽章   5'42"
第4楽章 12'12"
 合計   50'05
 
 第1楽章はゆったりとしたテンポであるが、部分的にはテンポを細かく変化させている。
リズムが明瞭で、折り目正しい演奏である。
陰影が濃く刻まれ、曲の輪郭がはっきりとしている。
オーケストラの音色はとても重厚である。
 第2楽章もゆったりとしたテンポで、地底に響き渡るような底力を感じる演奏だ。
音の拡がりもあり、深くかつ奥行きのあるスケールの大きい演奏だ。
中盤から終盤にかけても芯の通った堅固な演奏だ。
 第3楽章は流動性があり、スマートな演奏だが、1本筋が通っている。
 第4楽章は骨太でしっかりとした演奏だ。
軽妙さ、ダイナミックさよりも力強さ、重厚さが勝る演奏だ。

 セルは構成力があり、自分の意志を堅固に反映させる指揮者である。
この演奏も造形のしっかりした演奏だ。
だが、セルも人の子、このライブ演奏では燃えていて、スタジオ録音よりも力のこもった演奏になっている。
オーケストラもセルに同調して燃えていて、細かいことは気にせず、重厚壮大な演奏を展開している。
ライブ録音はスタジオ録音とは異なる演奏になることがあり、面白い。

CD404 George Szell,New York Philharmonic Orchestra;1963/7,Live

Szell1963

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指揮 ラインスドルフ 録音 1950年代前半

<CD 400>

指揮 エーリヒ・ラインスドルフ
演奏 ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1950年代前半

エーリヒ・ラインスドルフ 1912~1993 オーストリア ウィーン生、アメリカ人の指揮者

 初めはヨーロッパで活躍、ザルツブルグ音楽祭でワルター、トスカニーニのアシスタントを務めた後渡米し、メトロポリタン歌劇場の音楽監督を務め、ワーグナーの指揮で好評を得る。
その後、アメリカに帰化し、クリーブランド管弦楽団、ロチェスターフィル、ボストン交響楽団の指揮者を務める。

ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団

 コダック社の創業者であるジョージ・イーストマンによって1922年に設立された。
1947~1955年までラインスドルフが指揮者を努めた。
1974~1985年までジンマンが指揮者となり名声を高めた。
本業での活躍以外に別指揮者の元、ロチェスター・ポップスオーケストラとしても活躍している。

第1楽章 14'43
第2楽章 14'24"
第3楽章   5'36"
第4楽章 10'47"
 合計   45'30

 第1楽章はやや早めのテンポで、リズムにメリハリがあって、音量にも強弱をつけ、造形が明瞭で、くっきりとした陰影をもつ演奏だ。
中盤以降はドイツ流の重厚壮大な演奏だ。
 第2楽章は作為のない自然な演奏で始まる。
徐々に壮大な演奏へと盛り上がって行く。
安定したテンポで落ち着いた格調の高い演奏だ。
 第3楽章は軽快さとメリハリがマッチングした演奏だ。
 第4楽章はやや早めながらテンポが安定していて、構成がしっかりした演奏である。
流麗さもある。
細部までよくまとめられた丁寧な演奏だ。

 ラインスドルフはカラヤンと同世代の指揮者である。
それと活躍の場がアメリカであったことから、日本では人気がそれほど出なかったようである。
しかし彼はアメリカではボストン交響楽団、メトロポリタン歌劇場管弦楽団など一流の場で活躍した実力者である。
この演奏を聴くと、しっかりした構成の上に、流麗さと壮大さを備えた演奏をし、いかにも彼が実力者であることがわかる。
しかもアメリカの楽団ながらドイツの香りがする演奏を聴かせてもらえるのである。。

 ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団はいわゆるアメリカの5大オーケストラには取り上げられていないが、この演奏を聴く限りは優れた楽団であることがわかる。
ただし、この楽団のスポンサーであるコダック社が経営破綻をした影響が心配される。

CD 400 Erich Leinsdorf,Rochester Philharmonic Orchestra;195X/XX

Leinsdorf

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指揮 チベッタ 録音 1981年

<CD 392>

指揮 シーザー・チベッタ
演奏 シンシナティ大学管弦楽団
録音 1981年11月 ライブ録音

シーザー・チベッタ

1959年~
アメリカ ニューヨーク生

 アメリカ人の指揮者。
アメリカのシンシナティ大学で学んだ後、イタリアに留学しジュリーニ等に指導を受ける。
23才でバファロー交響楽団の指揮者となる。
その後、ヨーロッパ、アメリカを始めロシア、アフリカ、中国など世界の楽団の客演指揮者として活躍を続けている。
トスカニーニに心酔していて、留学先にイタリアを選んだのもトスカニーニの影響かも知れない。

 シンシナティ大学管弦楽団

 設立年度などの詳細は不明であるが、現在も活動を続けているようだ。

第1楽章 16'47"
第2楽章 16'44"
第3楽章   5'50"
第4楽章 11'18"
 合計   50'39"
 
 第1楽章は、中庸で安定したテンポで、力みがなく自然で流れるように美しい演奏だ。
天真爛漫で伸び伸びとしていて、それでいて芯があるぶれないしっかりとした演奏だ。
中盤以降は情熱的な要素も加わる。
プロではなくアマチュアの若いオーケストラなので、音色はとてもみずみずしい。
 第2楽章は悠然としたテンポで、真綿で包まれたような柔らかでふくよかな演奏だ。
極上の美しさを感じる。
中盤も安定していて、自然な流れの中に、深さと奥行きがある。
終盤も力みはないが、堂々たるスケールの大きな演奏だ。
リズムや音色に硬さが全くなく、とても柔らかい演奏だ。
 第3楽章は軽快で柔らかく美しいが、求心力もある。
 第4楽章は柔軟さと美しさに、力強さとダイナミックさが加わり、躍動感あふれる素晴らしい演奏だ。

 この演奏は当時22才のチベッタが、同じ大学の仲間を集めて演奏し録音したものである。
リハーサルはわずか2回だそうである。
チベッタがイタリア流の演奏に興味をもっていたこと、オーケストラが若くフレッシュであることからか、柔らかく美しい演奏だ。
それに情熱さも加わり、みずみずしい演奏だ。
この演奏に見られるチベッタのもつ豊かな感性は天性のものだろう。
22才の指揮者とその若き仲間達が素晴らしい音楽を創出したことに拍手を贈りたい。

CD392 Cesare Civetta,Orchestra of the Univercity of the Cincinnati;1981/11

Civetta1981

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指揮 トスカニーニ 録音 1949年

<CD 391>

指揮 アルトゥーロ・トスカニーニ
演奏 NBC交響楽団
録音 1949年

アルトゥーロ トスカニーニ

1867~1957年
イタリア パルマ生

 イタリア人の指揮者。
フルトヴェングラーやワルターと並び称される大指揮者である。
非常に多くのレパートリーをもつことでも知られている。
イタリア各地で指揮をし、ミラノ スカラ座の音楽監督を務める。
その後、渡米し、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団の指揮者となる。
その楽団を辞任後は新しく設立されたNBC交響楽団の指揮者を長く務め、多くの録音を残した。

 NBC交響楽団

 1937年にアメリカの会社RCAは一旦引退したトスカニーニにラジオ放送を主とした復帰を要請し、彼の専用のオーケストラを編成したのがこのオーケストラの始まりである。
トスカニーニは1954年に引退するまで、このオーケストラと組んで多くの録音を残している。
トスカニーニの引退後は自主運営となり、シンフォニーオブジエアーと改称し1963年まで活動を続けた。

第1楽章 13'46"
第2楽章 15'34"
第3楽章   5'11"
第4楽章 11'09"
 合計   45'40"

 第1楽章は強い和音で始まり、はっとさせられる。
速いテンポで、力強く、はつらつとした演奏が続く。
リズムは歯切れがよい。
テンポも音の強弱も一本調子ではなく、自然な流れの中で変化をつけている。
 第2楽章は普通のテンポで、厳かにかつ美しく歌う演奏だ。
彼のみでなくイタリアの指揮者はメロディを歌わせるのが巧みだと感じる。
中盤の盛り上がりも堂々としていてスケールが大きい。
音の流れも自然で、最後までよどみがない。
 第3楽章は速いテンポで勢いがあり、闊達な演奏だ。
 第4楽章は速いテンポで、勢いがあり、流れも良い。
楽章全体のまとまりが良い。

 一音一音を大切にしていてむだがなく、かつ全体がまとまっていて、大変立派な演奏だ。
勢いもあるし、流れもよく、集中力が最後まで途切れない。
やはりトスカニーニは偉大な指揮者であることを再認識させられた。

CD391 Arturo Toscanini,NBC Symphony Orchestra;1949

Toscanini1949

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指揮 モントゥー 録音 1960年

<CD 390>

指揮 ピエール・モントゥー
演奏 ボストン交響楽団
録音 1960年4月 ライブ録音

ピエール・モントゥー 1875~1964

 パリ生まれ、フランス人の指揮者。
1906年にヨーロッパで指揮活動を開始、1916年に渡米しメトロポリタン歌劇場の指揮者となる。
その後、コンセルトヘボウ管弦楽団、ボストン交響楽団、パリ管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団、そして最後はロンドン交響楽団の指揮者を勤めた。
フランス音楽だけではなく、ドイツ音楽や近代の音楽、オペラも得意とし、レパートリーが広かった。

 ボストン交響楽団

ボストン交響楽団は1881年に創設されたアメリカでも屈指の名門オーケストラである。
アメリカで最もヨーロッパ的な楽団とされる。
クーセヴィッキー、モントゥー、ミュンシュなどの巨匠が指揮者を務め、名声を高めた。
小澤征爾も1973年から2002年まで指揮者を務めた。

第1楽章 14'06"
第2楽章 14'19"
第3楽章   5'23"
第4楽章 11'05"
 合計   44'53"

 第1楽章は統率が取れていて、とてもメリハリのある演奏である。
テンポはとても速い。
音量の強弱のバランスがよい。
テンポの揺れは多少あるがごく自然な範囲で、これがかえって単調さを排除しているようだ。
整然とした中にも緊張感、生気、熱さを感じる演奏だ。
 第2楽章はやや速めのテンポで、整然とした流れの中に美しさと情感、底力が散りばめられていて、感動的な演奏だ。
 中盤の盛り上がりも、自然な中に雄渾な雰囲気を出している。
そしてそれは次第に広さ、奥行き、深さを増して行く。
後半のパワーもすごいものである。
 第3楽章も速いテンポで、軽妙さと力強さを併せ持った演奏だ。
 第4楽章も速いテンポで、リズムと音の強弱のバランスが見事で、流麗さもあり、聴き手をぐいぐい引き込む。
エネルギッシュで華やかな演奏だ。

 まったくすごい吸引力を感じる演奏だ。
テンポ、リズム、音の強弱をフルに活用して聴衆を飽きさせないばかりか、ぐいぐい引き込むことに徹している。
モントゥーは偉大な指揮者であることが再認識させられた。
もちろん、この演奏でモントゥーを支えているボストンSOの力量も評価に値する。
この録音は彼が85歳のときのものなので、さらに驚かされる。
 音楽評論家として大家と言われる宇野功芳氏はエロイカのベスト盤として、モントウー-コンセルトヘボウOの盤をあげているが、この演奏を聴くとそれもうなづけるような気がする。
モントゥー-コンセルトヘボウ盤もあらためて聴き直してみたいものだ。

CD390 Pierre Monteux,Boston Symphony Orchestra;1960/04

Monteux1960

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指揮 メータ 録音 2009年

<CD 383>

指揮 ズービン・メータ
演奏 ロスアンジェルスフィルハーモニーオーケストラ
録音 2009年12月 ライブ録音

ズービン・メータ 1936~

 インド ボンベイ生、インド人の指揮者。
ウイーンで音楽を学び、1959年にウイーンフィルを指揮してデビューした。
その後、モントリオール、ロスアンジェルスフィル、ニューヨークフィルの指揮者を務め、77年からはイスラエルフィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めている。
オーケストラの曲はもちろん、オペラの指揮も得意としている。
ただし、不思議なことにベートーヴェンやマーラーについては全曲の録音を残していない。

ロスアンジェルスフィルハーモニー管弦楽団

 ロスアンジェルスフィルハーモニー管弦楽団はアメリカのカルフォルニア州を拠点とするオーケストラで、1919年に設立された。
クレンペラー、メータ、ジュリーニ、プレヴィンなどが指揮者を務めた。
特にメータは15年間の長きにわたり音楽監督を勤め、この楽団を国際的な地位に引き上げた。
現在はドゥダメルが音楽監督に就任している。
この楽団は毎夏にハリウッドボウルで屋外コンサートを行うこともよく知られている。。

第1楽章 15'36"
第2楽章 16'00"
第3楽章   5'53"
第4楽章 12'15"
 合計   49'44"

 第1楽章はほどよいテンポで、安定した演奏だ。
堂々としていて、重量感がある。
音の広がりと奥行きがあり、堅固な建築物に接しているようだ。
 第2楽章も落ち着いた堂々たる演奏で、奇をてらわず、重量感があってとてもスケールが大きい。
意識的なテンポの揺れや音量の変化もなく、音楽の流れにいささかの不自然さもない。
終始、安定感と充実感に満たされた演奏だ。
 第3楽章も安定していて、軽妙さと力強さがバランスしている。
 第4楽章も安定して重厚壮大な演奏だが、曲想の変化に柔軟に対応していて、飽きることなく最後まで聴かせてくれる。

 メータは彼のキャリアからして十分大家と言えるが、その演奏スタイルは今風の現代的なものではなく、彼の先輩のモントゥ、クレンペラー、クーベリックなどの巨匠達のスタイルを受け継いでいるように思う。
その点では前に紹介した2011年の録音と同じように感じられた。

 ロスアンジェルスフィルも自信に満ちた演奏で素晴らしく、アメリカのどの楽団にもひけをとらないばかりか、ヨーロッパの一流楽団にも並ぶと思えるほど充実している。

CD383 Zubin Mehta,Los Angeles Philharmonic orchestra;2009/12

Mehta2009

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指揮 レヴァイン 録音 2010年

<CD 363>

指揮 ジェームス・レヴァイン
演奏 ボストン交響楽団
録音 2010年2月 ライブ録音

ジェームス・レヴァイン 1943~

アメリカ オハイオ州シンシナティ生

アメリカ人の指揮者、ピアニスト。
ジュリアード音楽院を卒業後、70年から指揮活動を開始する。
73年にメトロポリタン歌劇場管弦楽団の首席指揮者、75年に同楽団の音楽監督に就任する。
2004年にはボストン交響楽団の音楽監督も兼任し、アメリカのクラシック音楽界の中心人物としてオペラとコンサートの両方で活躍している。

ボストン交響楽団

ボストン交響楽団は1881年に創設されたアメリカでも屈指の名門オーケストラである。
アメリカで最もヨーロッパ的な楽団とされる。
クーセヴィッキー、モントゥー、ミュンシュなどの巨匠が指揮者を務め、名声を高めた。
小澤征爾も1973年から2002年まで指揮者を務めた。

第1楽章 17'49"
第2楽章 15'58"
第3楽章   5'41"
第4楽章 11'50"
 合計   51'18

第1楽章は、テンポは中庸な速度で安定していて、リズムは歯切れがよくレスポンスも良く、堂々としていて明快で伸びやかな演奏である。
テンポにブレがなく、大変安定していて全く申し分ない快演である。
第2楽章は、序盤はトーンを抑え、美しく情感を込めた演奏だ。
中盤から後半の演奏もテンポ、リズム、トーンのバランスが良く、整った見事な演奏だ。
第3楽章もテンポ、リズムが整っていて、明快な演奏である。
第4楽章もテンポ、リズム、構成のすべてにおいて、申し分ない素晴らしい演奏だ。

この演奏は、私がかねてより理想的と考えている演奏に近いものだ。
テンポ、リズムや曲の運びも完璧で、演奏技術も素晴らしい。
ただ、この演奏はあまりにまとまり過ぎていて、遊び、スキ、乱れが全くない。
まるで精密機械にコントロールされたかのような演奏だ。
従って、立派な演奏の割りに、それに見合うほどの感動が伝わってこない。
例えは良くないかも知れないが、非の打ち所のない美女よりも、わずかな欠点のある女性の方が魅了を感じるような感じだろうか。
大変立派な演奏に対して失礼な表現かも知れないが、時間を置いて再度聞き直してみると、大きな感動が得られるかも知れない。

CD 363 James Levine Boston SO 2010/2

Levine2010

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