指揮 ハイティンク 録音 1997年

<CD 371>

指揮 ベルナルド・ハイティンク
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1997年9月 ライブ録音

ベルナルド・ハイティンク

1926年~ 

 アムステルダム生、オランダ人の指揮者。
1961年から1987年まで、26年間の長きにわたり、名門、ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団の指揮者を務める。
その間、69年から79年までロンドン交響管弦楽団の指揮者を兼ねる。
その後2010年までシカゴ交響楽団の指揮者を務めた。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 18'25"
第2楽章 15'16"
第3楽章   5'58"
第4楽章 11'51"
 合計   51'30

 第1楽章はゆったりしたテンポで、オーソドックスで折り目正しい演奏だ。
テンポ、リズム、音量がバランスしている。
それだけでなく、洗練されていて、まろやかさもある。
極上のウィスキーのように上品で、熟成された芳醇な香りをもつ演奏だ。
 第2楽章は自然なテンポで適度な起伏の中に情感が込められている。
やはり洗練されていて上品な演奏だ。
中盤からは音の空間的な拡がりとスケールの大きさが加わる。
 第3楽章は軽快で小気味よく、かつ大らかで品良くまとめている。
 第4楽章も劇的な表現を避け、程良いダイナミックさをもち、穏やかで格調高い演奏に終始している。

 ハイティンクの演奏は派手さやパフォーマンスを狙うのではなく、正攻法で聴き手をじわりじわりと引き込む演奏スタイルだ。
ウィーンフィル本来の優雅さとしなやかさを引き出し、格調高い演奏を展開している。

CD 371 Bernald Haitink Vienna PO. ;1997/9 Live recording

Haitink1997

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指揮 E.クライバー 録音 1955年

<CD 334>

指揮 エーリッヒ・クライバー
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1955年4月

エーリッヒ クライバー 1890~1956
オーストリア ウイーン生

 あのカルロス・クライバーの父親である。
ベルリン市立歌劇場の音楽監督を勤めるが、ナチスと対立してアルゼンチンに移住する。
戦後ドイツに戻り再びベルリン市立歌劇場の音楽監督となるが、東ドイツの体制に反発して辞任。
以後客演指揮者としてヨーロッパの各楽団を指揮する。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 16'53"
第2楽章 15'40"
第3楽章   5'38"
第4楽章 10'56"
 合計   49'07

第1楽章は速めのテンポで、リズムが明瞭、きびきびとした歯切れの良い演奏だ。
リズムは鋭いが、ためを置いていないので、響きはやや浅く聞こえる。
第2楽章はリズムを抑え、トーンを落としていて、清楚で飾らない整然としたイメージの演奏だ。
後半はリズムとトーンが烈しく、堂々たる演奏だが、節度は保たれている。
第3楽章は軽快かつ整然とした演奏だ。
第4楽章は、速めのテンポと歯切れの良いリズムで、きびきびとした演奏だ。

 全体の印象は、整然としていて、節度のある堅実な演奏だ。
重厚壮大な演奏に慣れた耳には、やや古風で物足りなく感じるかも知れないが、こういう演奏を最も喜ぶのはベートーヴェン自身かも知れない。
ウィーンフィルも指揮者に同調して、出しゃばらず穏健でソツのない演奏に終始した。

 それにしても、彼の息子のカルロス・クライバーのレパートリーにエロイカが入っていないのは、残念至極である。
4番、5番、7番の交響曲は名演を残しているのに。

CD 334 Erich kleiber Wien PO 1955/4

Kleiber55april

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指揮 プレートル 録音 2009

<CD 323>

指揮 ジョルジュ・プレートル
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 2009年10月

ジョルジュ・プレートル

1924~ フランス ブランドル地方のヴァジエール生

 フランス人の指揮者。
パリ音楽院で学び、フランス各地の歌劇場で指揮をする。
その後世界の各地の歌劇場で指揮者として活躍。
パリ オペラ座の音楽監督も務めた。
86才の高齢ながら、一昨年および本年のウィーンフィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートの指揮者として登場し、元気な姿を全世界に披露した。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 15'08"
第2楽章 14'27"
第3楽章   6'14"
第4楽章 12'05"
 合計   47'54"

 第1楽章は速めのテンポで、はつらつとして華やかでかつバイタリティあふれる演奏で、とても85才の老指揮者の演奏とは思えない。
重厚さも持ち合わせた演奏だ。
フレーズによってはテンポと音量をさらに上げ、単調さを避けている。
 第2楽章は骨太の演奏だ。
感傷に溺れずぐいぐいと前へと進む。
葬送行進曲というよりは軍隊行進曲というイメージを感じる。
しかし、要所はロマンチックな表現で決めている。
後半は重厚壮大でエネルギッシュな演奏である。
 第3楽章は大変重厚でエネルギッシュなスケルツオだ。
 第4楽章もはつらつとしていて、エネルギッシュで、リズムも軽快かつ躍動的である。

 年齢的な衰えを感じないエネルギッシュな演奏に驚かされる。
ウィーンフィルの演奏も見事で、プレートルの意図を汲んだ演奏だ。
優雅な演奏から烈しい演奏まで、どんな指揮者に対しても柔軟に対応できる楽団である。

CD 323 Georges Prêtre Wien PO 2009/10

Pretre2009_3

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指揮 フルトヴェングラー 録音 1950年

<CD 318>

指揮 ウイルヘルム・フルトヴェングラー
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1950年 8月 ザルツブルグ音楽祭でのライブ録音

ウイルヘルム・フルトヴェングラー 1886~1954年
ドイツ ベルリン生

 トスカニーニ、ワルターと並んで20世紀を代表する指揮者として知られる。ドイツ、オーストリアで活躍。
ゲバントハウス、ベルリンフィル、ウイーンフィルの常任指揮者を務める。
日本人は特にフルトヴェングラーが好きで、神様のように思っている人も少なくないそうである。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 16'04"
第2楽章 16'53"
第3楽章   6'21"
第4楽章 12'42"
 合計   52'00"

 第1楽章は、やや遅めのテンポであるが、曲の流れに合わせてテンポを変化させていて、画一的ではなく柔軟性のある演奏だ。
フォルテの部分は重厚で、重量感がある。
フルトヴェングラーにしては、アクセントの強い烈しい第1楽章だと感じる。
 第2楽章は、一転して柔らかく、優しく、甘美な演奏だ。
後半は威厳と荘厳さに満ちた演奏だ。
 第3楽章は、軽快感もあるが、緊張感がそれを上回っている。
 第4楽章は、リズムが明瞭で、曲の流れに応じてテンポとアクセントを変化させ、めりはりと立体感のある演奏を展開している。
活力と勢いもあり、素晴らしい演奏だ。

 この演奏は、演奏技術も優れているが、精神面でも充実しており、ハイレベルの演奏だ。
録音が良ければなお良いが、それはないものねだりであろう。
これは最近になって発掘された録音らしいが、貴重なものである。

CD 318 Furtwängler Wien PO 1950/8

Furt50aug

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指揮 フルトヴェングラー 録音 1952年

<CD 314>

指揮 ウイルヘルム・フルトヴェングラー
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1952年 11月30日

ウイルヘルム・フルトヴェングラー 1886~1954年
ドイツ ベルリン生

 トスカニーニ、ワルターと並んで20世紀を代表する指揮者として知られる。ドイツ、オーストリアで活躍。
ゲバントハウス、ベルリンフィル、ウイーンフィルの常任指揮者を務める。
日本人は特にフルトヴェングラーが好きで、神様のように思っている人も少なくないそうである。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 15'44"
第2楽章 17'52"
第3楽章   6'53"
第4楽章 13'25"
 合計   53'13"

第1楽章は遅めのテンポで、格調の高いおごそかな演奏だ。
フレーズ毎にテンポを細かく変化させていて、それが単調さを避けるだけではなく奥行きとめりはりのある演奏に仕立てている。
第2楽章は格調の高さを保った美しい演奏だが、甘美になり過ぎてはいない。
後半は雄大で深遠な演奏だ。
この楽章もテンポは遅めだが、部分的にテンポを変化させている。
それは自然に受け入れられるものである。
第3楽章はテンポと音の強弱に差を設けており、曲の立体感が増すように作用している。
第4楽章は曲想がめまぐるしく変化するが、テンポと音量を巧みにコントロールしてそれを見事に表現している。

この録音はもう60年近い昔のものであるから音は良くないが、フルトヴェングラーとウィーンフィルの素晴らしさを十分味わうことができる。
1952年は有名なスタジオ録音を始め、多くのエロイカの録音が残された年だけに、この録音も充実したものになっている。
この曲のもつエネルギーとダイナミズムを、格調高さを保ったまま表現している。

CD 314 Furtwängler Wien PO 1952/11

Furt1952nov30

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指揮 クナッパーツブッシュ 録音 1962年

<CD 311>

指揮 ハンス・クナッパーツブッシュ
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1962年2月 ライブ

ハンス・クナッパーツブッシュ

1888~1965年
ドイツ エルバーフェルト生
 ミュンヘンやウイーンで活躍したドイツ人の指揮者、練習が嫌いな指揮者であったと言われる。
ワグナーやブルックナーの演奏に定評があり、バイロイト音楽祭の指揮で活躍した。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 17'23"
第2楽章 17'25"
第3楽章   7'03"
第4楽章 13'49"
 合計   54'40"

第1楽章は拍手が鳴り止まぬのにいきなり音楽がスタートしたのには驚いた。
ゆったりしたテンポでのどやかな始まりだ。
しかしテンポはそのままで、次第にボルテージが上がり、大きなスケールの演奏に変貌して行く。
リズムがすごく、骨組みが大変しっかりした演奏だ。
第2楽章もスケールの大きくディープな印象だ。
地底から音が湧きだしてくるような印象だ。
第3楽章はリズムが躍動し、トーンも硬軟の切り替えが見事で、立派な演奏だ。
第4楽章も大きな骨格の堂々たる演奏だ。
リズムもトーンも強弱の切り替えがよく、とてもスケールの大きな演奏だ。

時代がかったテンポとリズムの演奏で、明快で小気味よい現代的な演奏とは対極にある演奏だ。
とてつもなくスケールの大きな演奏で、このような演奏はクナッパーツブッシュにしかできないのだろう。
ウィーンフィルの演奏にも驚かされる。
どのような指揮者に対しても柔軟に対応できるのだ。
クナッバーツブッシュの指揮に振り回されることなく、見事に追従してスケールの大きな演奏にまとめ上げている。

CD 311 Knappertsbusch Wien PO 1961

Kuna61

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指揮 ヨッフム 録音 1982年

<CD 309>

指揮 オイゲン・ヨッフム
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1982年3月 ライブ演奏

オイゲン ヨッフム 1902~1987
ドイツ バーベンハウゼン生

 ヨッフムはバイエルン放送交響楽団、アムステルダム コンセルトヘボウ管弦楽団、バンベルク交響楽団などの指揮者を務めたドイツ音楽の巨匠である。
特にブルックナーの権威者とされる。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章 15'45"
第2楽章 17'16"
第3楽章   6'28"
第4楽章 12'32"
 合計   52'04"

第1楽章はテンポ、リズム、トーン、フローのどれも安定していて、バランスのよい見事な演奏だ。
第2楽章も自然な流れのなかで、情緒のある演奏を展開している。
後半の盛り上がりも自然なものだ。
第3楽章もテンポ、リズム、トーンのバランスがよい。
軽妙さと牧歌的かつ厳粛な雰囲気をうまく表現しいている。
第4楽章も安定していて、躍動感、立体感、スケールの大きさを十分に味わうことができる。

ヨッフムはドイツ音楽の巨匠とされるが、それを前面に出さず、自然でオーソドックス、かつ堂々とした立派な演奏だ。
これにはウィーンフィルの力も大いに寄与しているのだろう。
エロイカの規範となるような演奏で、原曲の素晴らしさを堪能できる。

CD 309 Jochum Wien PO 1982/3

Jhocum82

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指揮 テンシュテット 録音 1982年

<CD 300>

指揮 クラウス・テンシュテット
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1982年8月 ライブ録音

第1楽章 14'49"
第2楽章 17'52"
第3楽章   6'36"
第4楽章 12'21"
 合計   51'31"

クラウス テンシュテット 1926~1998
旧東ドイツ メルゼブルク生まれ。

 ドイツの指揮者。旧東ドイツで指揮活動を行うが、体制下での活動に制約を感じ、1971年に西ドイツに亡命。
その後、北ドイツ放送交響楽団、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団の指揮者を務める。
レパートリーは広く、特にマーラーを得意とした。
98年に病気のため惜しまれつつ亡くなる。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章は、やや速いテンポで、リズムが明瞭で安定感のある演奏だ。
しっかりしたベースの上で、リズムやテンポ、トーンを細かく制御し、生き生きとした新鮮な印象の演奏である。
第2楽章はゆったりしたテンポにチェンジしている。
ここでも音の強弱やテンポを巧みに変えて、陰影を濃く施した深く濃密な演奏だ。
第3楽章は軽妙さ、重厚さ、のどやかさ、威厳など多様なモードが交錯する演奏だ。
第4楽章は華やかに彩られた絵巻物を見るような絢爛豪華な演奏だ。

テンシュテットは名シェフである。
テンポやリズム、トーンを楽章毎、あるいは楽章内でうまく変え、エロイカを巧みに味付けして、贅沢な料理に仕上げた。
ウィーンフィルもテンシュテットの意図に呼応して、濃厚な演奏を行った。
ウィーンフィルはこのような濃厚な演奏にも、またあっさりした演奏にも対応できる自在な技術と感性をもつ楽団だ。
この演奏は実に見事だが、淡泊な演奏を好む人にはやや味が濃いと感じられるかも知れない。

CD 300 Tennstedt Wien PO 1982/8

Tennsredt_wienpo

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指揮 ドラティ 録音 1976年

<CD 296>

指揮 アンタル・ドラティ
演奏 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
録音 1976年9月

第1楽章 17'08"
第2楽章 15'44"
第3楽章   5'45"
第4楽章 12'10"
 合計   50'47"

アンタル・ドラティ

1906~1988年
ブダペスト生まれ、ハンガリー人の指揮者。
ブダペスト音楽院を卒業後、ヨーロッパで指揮活動を展開する。
1945年からアメリカで指揮者として活動、ダラス交響楽団、ミネアポリス交響楽団の指揮者となる。
1963年からヨーロッパに戻り、BBC交響楽団、ストックホルムフィルハーモニー管弦楽団、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団の指揮者となる。
途中、再びアメリカのワシントンナショナル交響楽団、デトロイト交響楽団の指揮者も兼ねた。
ドラティはこのように多くの楽団に指揮者として迎えられたのには理由があるのである。
苦境にある楽団を立て直した実績を買われ、多くの楽団に乞われそれを復活させ、レベルを引き上げたのである。
その功績は大きい。

ロイヤルフィルハーオニー管弦楽団
 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団はトマス・ビーチャムによって1946年に設立された楽団で、イギリスでは名門オーケストラの一つである。
ビーチャムの後、ケンペ、ドラティ、ワルターヴェラー、プレヴィン、アシュケナージ、ガッティが指揮を執っている。

第1楽章はスタッカート奏法に似たキレの良いリズムのせいか、さっそうとして小気味よい演奏である。
次第に勢いも出て、熱い演奏が展開される。
第2楽章はストレートな演奏だが、透明感があり、情感もこもっている。
後半は力の入った熱い演奏である。
音の強弱の変化が自然で、この楽章全体の曲想がうまくまとめられている。
第3楽章はリズムが明瞭で、メリハリのある演奏だ。
第4楽章はリズム感が素晴らしく、曲の流れもスムーズで、全体に躍動感を感じる。

明瞭なリズムがベースにあって、曲の流れも良く、自然で明快な演奏だ。
ドラティの演奏は60年から70年代に、管弦楽や舞踊音楽を中心によく聴いたものだ。
彼はハンガリー出身だ。
同郷の指揮者にフリッチャイ、セル、オーマンディ、ライナー、ショルティ、ケルテスなど優れた人たちがいるが、ドラティもその一人である。

CD 296 Doráti Royal PO 1976/9

Dorati

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指揮 マゼール 録音 1983年

<CD 279>

指揮 ローリン・マゼール
演奏 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音 1983年4月 ライブ録音

第1楽章 15'09"
第2楽章 16'56"
第3楽章  6'08"
第4楽章 12'09"
 合計   50'22"

ローリン・マゼール 1930~

フランス、パリ近郊生まれのアメリカ人指揮者。
生まれて間もなく、アメリカへ移住。
早くからヴァイオリンと指揮を勉強。
10代で指揮者としてデビュー。その後ヨーロッパで活躍。
ベルリン放送交響楽団、クリーブランド管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団などの指揮者を務める。
最近はニューヨークフィルを率いて北朝鮮で演奏会をしたことが話題になった。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 1842年に設立され、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団と並ぶ世界で屈指の楽団である。
ベルリンフィルは楽員の門戸を世界に向けて開いているのに対し、ウィーンフィルは伝統を重んじ、楽員を自国出身の男性のみで構成していたが、レベルの維持のため最近は他国の出身者や女性にも門戸を開くようになった。
1930年代から専属指揮者を置かず、客演指揮者制を採っている。
なおメンバー全員がウィーン国立歌劇場管弦楽団員でもあり、コンサートとオペラの両方で活動している。

第1楽章は中庸のテンポで、整然としていて流れはよどみなく、勢いも程良くあって、バランスが良い演奏だ。
第2楽章は格別の演出はないが、流れが自然で、整然としていてとても美しい。
オケも柔らかく格調高い音を出している。
第3楽章は流れが良く、めりはりの効いた演奏だ。
第4楽章もバランスが良い。
勢いと活力と緊張感が格調高く維持されている。

どの楽章も高いレベルで維持されていて、統一された印象をもつ。
さすがは大家と名門オーケストラの演奏であると思わせる出来映えである。
マゼールは「エロイカはこういう風に演奏するんだよ。」とお手本を示したようだ。

CD 279 Maazel Wien PO 1983/4

Mazel83

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