指揮 バレンボイム 録音 2011年

<CD 399>

指揮 ダニエル・バレンボイム
演奏 ウエスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
録音 2011年 8月

ダニエル バレンボイム 1942年~
アルゼンチン ブエノスアイレス生

 アルゼンチンで生まれたが、1952年に母国のイスラエルに移住している。
1952年にピアニストとしてデビューし、その後、モーツァルト、ベートーベン、ブラームスのピアノ協奏曲を全曲録音するなど一流のピアニストと認められた。
1967年にロンドンフィルハーモニー管弦楽団を指揮し指揮者としてデビューし、その後パリ管弦楽団、シカゴ交響楽団の指揮者を務める。
オペラにおいてもバイロイト、ミラノ・スカラ座などで活躍している。
大家とされる大物指揮者が次々に世を去った今、期待される指揮者の一人である。

ウエスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

 1999年にバレンボイムとパレスチナの文学者であるエドワード・サイードにより設立された。
メンバーはイスラエル、ヨルダン、レバノンなどアラブ諸国の若手音楽家で構成されている。

第1楽章 16'06
第2楽章 15'54"
第3楽章   6'04"
第4楽章 12'07"
 合計   50'11

 第1楽章はゆったりとしたテンポで、大変おおらかな演奏だ。
落ち着いていて力みがなく伸びやかな演奏だ。
若手演奏家らしくフレッシュな印象だ。
 第2楽章もゆったりとしていて、力みがなくごく自然で穏やかな演奏だ。
中盤から終盤にかけての起伏も無理にないもので、烈しさよりも柔らかさ、おおらかさを感じる。
 第3楽章も前の2つの楽章と同じ傾向だ。
穏やかな演奏スタイルはこの楽章のもつ性格にマッチしている。
 第4楽章もゆったりとしたテンポで穏やかな演奏が展開されるが、程良い緊張感は保たれている。
この楽章のもつダイナミックさはきちんと表現されている。

 バレンボイムは劇的、刺激的表現は避け、穏やかな音造りに徹している。
その結果、清々しい新鮮な演奏になった。
若いエネルギーをうまくコントロールしている。
彼が意図した英雄像は戦闘的、好戦的なものではなく穏やかで大らかなもののようだ。
 このオーケストラは政治的に敵対している国々からも若手が集まっている。
古い表現で言えば呉越同舟であるが、この演奏からはそういう雰囲気は微塵も感じられない。
この楽団がベートーヴェンの交響曲全曲を録音したのは大きな自信につながるだろう。

 バレンボイムはロンドンオリンピックの入場行進に参加して健在である姿を世界に示してくれた。
彼のこのオーケストラの育成活動は平和維持活動の一環であり、音楽にイデオロギーや国境がないことを示してくれている。
彼の活動に拍手を送りたい。

CD 399 Daniel Barenboim,West-Easten Divan Orchestra;2011/8

Barenboim2011

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指揮 シノーポリ 録音 1993年

<CD 396>

指揮 ジュゼッペ・シノーポリ
演奏 イスラエルフィルハーモニー管弦楽団
録音 1993年10月

ジュゼッペ・シノーポリ 1946~2001

ヴェネツィア生、イタリア人の指揮者。
音楽を学びながら精神医学も修める。
1984年にフィルハーモニア管弦楽団、1992年にシュターツカペレ・ドレスデンの主席指揮者となる。
マーラー、R・シュトラウスなど後期ロマン派の作品とオペラを得意とした。
2001年にアイーダを指揮中に倒れ亡くなった。

イスラエル管弦楽団

1936年にヴァイオリニストのフーベルマンによりパレスティナ交響楽団として設立された。
1948年のイスラエル建国時に現名称となる。
トスカニーニ、バーンスタイン、ジュリーニ、マズア、メータなどが指揮台に立った。

第1楽章 15'24"
第2楽章 17'09"
第3楽章   5'38"
第4楽章 12'08"
 合計   50'19"

 第1楽章は標準的なテンポだが、テンポ、音量、調子を細かく変化させ、多様な印象を受ける演奏である。
おおらかであり、熱っぽくもあり、堂々としており、力強くも激しくもある。
 第2楽章はゆったりとした演奏で、たっぷり歌わせている。
中盤以降のスケールの大きさは特筆物である。
 第3楽章は終始力強い演奏である。
 第4楽章は力強く、流動的で華々しい演奏だ。
さらにエネルギッシュで情熱的であり、劇的なフィニッシュとなる。

 アイーダを指揮中に亡くなったというニュースを聞いてから早くも10年になる。
活躍が期待されていただけに早世が惜しまれる。
精神医学を修めたためか、この曲を細かく分析し多様なスタイルで演奏しているが、オペラを得意としていただけに、情熱的で劇的な表現がベースとなっているようだ。

 数え切れないほど多くの指揮者がエロイカの録音を残しているが、著名な指揮者でもエロイカの録音がない人もいる。
ドイツオーストリア系ではカルロス・クライバーが筆頭であろう。
父エーリッヒは数枚のCDを残しているが、彼がエロイカを録音していないのはとても残念である。
クレメンス・クラウスの録音も見当たらない。
 フランス音楽を得意とするデュトワ、ブーレーズも録音がない。
フランス系ではないがアンドレ・プレヴィンもそうである。
ロシアのゲルギエフもそうである。
 セラフィンを筆頭とするイタリアオペラの指揮者もそうだが、デ・サーバタは例外的にエロイカを録音している。
シノーポリも録音がないと思っていたのだが、このCDが発売されたのでリストからはずすことにする。

CD 397 Giuseppe Sinopoli,Israel Philharmonic Orchestra;1993/10

Sinopoli

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